タルラタマブのCRS関連発熱を解析、発熱が奏効と関連か/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2026/04/16

 

 小細胞肺がん(SCLC)治療薬タルラタマブは、2026年3月27日に添付文書が改訂され、2次治療から使用可能となった。本剤は高い効果が期待されているが、免疫活性化に伴うサイトカイン放出症候群(CRS)による発熱の頻度が高く、適切な管理方法と予測マーカーの確立が急務となっている。そこで、山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター)らの研究グループは、タルラタマブによる治療を受けたSCLC患者を対象とした後ろ向き研究を実施し、発熱のタイミングや持続時間などと奏効との関連を解析した。その結果、投与1回目と2回目の両方で発熱がみられた患者は、奏効割合(ORR)が高かった。また、発熱の早期からステロイドを用いることで安全に投与を継続できることも示された。本結果は、第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)で発表された。

 研究グループは、埼玉医科大学国際医療センターにおいてタルラタマブ治療を受けた、再発または進行SCLC患者25例を対象として後ろ向き研究を実施した。本研究では、37.5℃以上を発熱と評価し、発熱患者にはヒドロコルチゾン100mgを投与した。また、発熱が6時間以上持続または再度発熱した場合はデキサメタゾン9.9mgを投与した。データカットオフ日は2026年2月28日であった。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者の年齢中央値は72歳(範囲:50~82歳)、男性の割合は84.0%であった。
・タルラタマブ治療開始時に何らかのグルココルチコイドが処方されていた患者は36.0%であった。
・37.5℃以上の発熱を認めた割合は、投与1回目(サイクル1の1日目[C1D1])は64.0%、投与2回目(C1D8)は87.0%であった。
・発熱のタイミングについて、投与から発熱までの時間の中央値は、C1D1では13.7時間であったのに対し、C1D8は25.2時間であり発熱までの時間が有意に長かった(p=0.005)。
・発熱の持続時間(37.5℃以上になってから37.0℃未満に低下するまでの期間)中央値は、C1D1では40.5時間であったのに対し、C1D8は27.3時間であり発熱の持続時間が有意に短かった(p=0.019)。
・発熱に対する治療の内訳は、ヒドロコルチゾンのみがC1D1 37.5%、C1D8 35.0%であり、ヒドロコルチゾンのみでは解熱に至らずデキサメタゾンの追加投与が必要となった患者がそれぞれ62.5%、55.0%であった。C1D1、C1D8ともにトシリズマブを用いた患者はいなかった。ステロイド投与量の中央値(プレドニゾロン換算)は、C1D1、C1D8共に91mgであった。
・C1D1とC1D8の両方で発熱を認めたdouble-fever群は、認めなかった群と比較して、ORRが有意に高かった(p=0.011)。

 本結果について、山口氏は「少数例の検討ではあるが、double-feverパターンを示した患者では、ORRが高くなる傾向があることがわかった。また、発熱の早期からステロイド介入を行う統一されたプロトコールを用いることで、安全に治療を行うことができた」とまとめた。また、本発表の後に実施されたプレスリリースセッションにおいて「タルラタマブ投与後の慎重な観察期間を投与後72時間とすることを提言する。安全な入院管理を行うとともに外来治療への円滑な移行体制が確立されることで、多くのSCLC患者にこの有望な治療を届けることができると期待している」と述べた。

(ケアネット 佐藤 亮)